
Gマーク(安全性優良事業所)とは、トラック運送事業者の安全への取り組みを客観的に評価し、一定の基準を満たした事業所を認定する制度です。取得すると、行政・全日本トラック協会(以下、「全ト協」)・損害保険会社からのインセンティブ、荷主からの信頼向上、使える点呼方法の選択肢の拡大といったメリットがあります。
本記事では、運送事業者の方に向けて制度の基礎知識・取得するメリット・申請の流れを、全5回シリーズ「Gマーク取得への道」の第1回として解説します。
目次:
Gマーク(安全性優良事業所)とは?

Gマークとは、トラック運送事業者の安全への取り組みを客観的に評価し、一定の基準を満たした事業所を「安全性優良事業所」として認定する制度です。認定を行うのは公益社団法人全日本トラック協会で、国土交通省もその取得を推奨しています。
Gマークの普及状況は、以下のとおりです。
- 認定事業所数:約29,210事業所(2025年12月時点)
- 全トラック運送事業所に占める割合:約34.4%(2025年12月時点)
2003年に開始されたこの制度は、荷主や一般の人が安全性の高い事業者を選びやすくすることを目的としています。
参照:国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」
Gマークの取得条件とは?

Gマークを申請するには、いくつかの前提条件を満たす必要があります。具体的には次のとおりです。
1. 申請資格要件を満たしていること
全ト協が出している「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業申請案内」では、申請資格要件として以下を満たす事業所が申請できると記載されています。
①事業開始後(運輸開始後)3年を経過していること。
営業所が開設され、事業を開始してから3年を経過していること。
※申請基準日(2026年7月1日)を含む過去3年間、連続して事業を行っていること。
②配置する事業用自動車の数が5両以上であること。
③a.虚偽の申請、その他不正な手段等(以下、「不正申請等」という。)により申請の却下又は評価の取消しを受けた事業所にあっては、当該却下又は取消しに係る申請年度後2事業年度を経過していること。
b.不正申請等により認定の取消しを受けた事業所にあっては、取消し後2年を経過していること。
④認定証、認定マーク及び認定ステッカー等(以下、「認定証等」という。)の偽造もしくは変造又は不正な使用により是正勧告を受けた事業所にあっては、当該是正勧告の履行状況が確認され、かつ偽変造等がされた認定証等の提出を受けた日から3年を経過していること。
参照:公益財団法人全日本トラック協会「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業申請案内」
2. 法に基づく認可申請、届出、報告事項及び社会保険等に適正に加入していること
加えて、以下のシートにて1つでも「No」とチェックが入る場合は、申請までの間に手続きを行う必要があります。

引用:公益財団法人全日本トラック協会「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業申請案内」
これらを満たすことで申請が受理され、後述の3テーマで評価を受けます。
Gマーク認定の評価はどのように行われる?

評価は大きく3つのテーマに分かれ、100点満点で審査されます。主な評価内容は以下のとおりです。
| 評価テーマ | 主な評価内容 | 配点 |
| ① 安全性に対する法令の遵守状況 | 適正化実施機関による巡回指導の結果など | 40点 |
| ② 事故や違反の状況 | 過去の事故・行政処分の実績など | 40点 |
| ③ 安全性に対する取組の積極性 | 安全方針・教育・記録の整備など | 20点 |
認定の目安は「各テーマの基準点をクリアし、合計100点満点中80点以上」とされるのが一般的です。評価項目は全38項目とされますが、内容や項目数が変わる場合があるため事前に確認しましょう。
Gマークを取得する5つのメリット

Gマークの取得には準備の手間がかかりますが、それに見合うメリットがあります。ここでは代表的なメリットを5つ紹介します。
メリット1:国・全日本トラック協会・損保会社から受けられるインセンティブ
認定事業所には、行政処分に関わる違反点数の取り扱い、IT点呼の活用、補助条件の緩和、損害保険会社による保険料割引など、複数のインセンティブが用意されています。内容や適用条件は年度・保険会社により異なります。
メリット2:荷主・社会からの信頼度が高まる
安全への取り組みを第三者が客観的に評価した証になるため、荷主の取引先選定や入札で評価されやすくなります。「安全な会社」であることを対外的に示せる点は、価格以外で選ばれるための差別化要素にもなります。
メリット3:点呼の選択肢が広がる(遠隔地IT点呼が可能になる)
Gマークの有無は、点呼方法に影響します。たとえば、宿泊を伴う長距離運行で点呼を受けられる「遠隔地IT点呼」は、Gマークの取得が前提条件です。一方、近年制度化された「遠隔地遠隔点呼」や「業務後自動点呼」はGマークがなくても実施できます。
関連記事:遠隔点呼の要件とは?IT点呼との違いや、Gマークなしでも実施できるケースを徹底解説
メリット4:事故・違反の減少と社内の安全意識の向上
点呼・点検・指導の記録を継続的に残すことで、安全管理の手順を標準化しやすくなります。こうした「仕組み化」を支えるのが、記録の電子化・一元管理です。
クラウド上でまとめて管理すれば、必要な点呼項目が自動で表示されるほか、実施漏れや記入漏れもアラートで確認できます。担当者ごとの経験や記憶に頼らず運用できるため、安全への取り組みを継続しやすく、管理品質の向上にもつながるでしょう。
メリット5:人材の採用・定着で有利になる
「安全に投資している会社」であることを客観的に示せるため、求職者への訴求やドライバーの定着にもプラスに働きます。人材確保が難しい運送業界において、安全な職場環境であることは重要な強みになるといえるでしょう。
Gマークの申請方法と年間スケジュール

Gマークの取得には、申請期間や審査の流れを事前に把握しておくことが欠かせません。ここでは、申請方法と年間スケジュールを解説します。
1. 申請は年1回・Web申請システムへ移行
Gマークの申請は原則として年1回です。例年7月ごろに全ト協のWeb申請システムから申請します。受付期間や申請方法は年度により変わるため、申請前に最新案内を必ず確認しましょう。
2. 申請の大まかな流れ
申請は、以下の流れに沿って行います。
- 申請要件・スケジュールの確認
- 必要書類・記録(点呼簿、点検記録、各種規程など)の準備
- Web申請システムからの申請
- 安全性評価委員会による確認・評価
- 認定・公表
点呼記録簿の項目については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:点呼記録簿の保存義務とは?保存期間や必須項目、監査で指摘されない「電子保存」の要件を解説
書類は直前にまとめて整えようとすると大きな負担になるため、早めに記録の管理状況を確認しておきましょう。
【現場で起きがちな話】Gマーク申請でつまずくポイント

Gマークの取得を目指す事業者の中には、「何を準備すればよいか分からない」「必要な記録が見つからない」といった理由で申請がスムーズに進まないケースがあります。ここでは、現場でよく見られるつまずきポイントと、その対策をまとめました。
1. 申請のカギは「点呼・アルコールチェックの記録整備」
評価では、点呼や指導が継続的かつ適切に行われているかが問われます。特に重要なのが、点呼記録簿やアルコール検知器による測定結果の記録です。これらは運転者の健康状態や酒気帯びの有無を確認した証拠となるため、記載漏れや保存不足があると評価に影響する可能性があります。
2. 記録の一元管理で申請データの集計をラクにする
Gマークの申請では、多くの資料を提出・確認する必要があります。記録が紙や複数のファイルに分散していると、必要な情報を探したり集計したりするだけでも手間がかかります。
日頃から記録を一元管理しておけば、申請時にスムーズに抽出できます。記録漏れや記載ミスの早期発見にもつながるため、申請準備の負担軽減だけでなく、日常的な安全管理の効率化にも役立つでしょう。
Gマークに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、運送事業者から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。申請前の不安や疑問の解消にお役立てください。
Q:Gマークがなくても点呼業務はできますか?
A:対面点呼や電話点呼、近年制度化された遠隔地遠隔点呼・業務後自動点呼はGマークがなくても実施できます。一方、遠隔地IT点呼はGマークの取得が前提です。
関連記事:業務前自動点呼とは?2025年に変わった点呼業務と、失敗しない導入・運用の3つの要件
Q:取得までどれくらいかかりますか?
A:申請は年1回のため、受付時期に合わせた準備が必要です。日々の記録が整っていれば、申請時の負担を減らせます。申請から認定・公表までの具体的な期間は、申請年度の案内で確認してください。
Q:申請に費用はかかりますか?
A:申請は無料です。ただし、申請に必要な書類の取得費用や、安全管理体制の整備に伴う費用が発生する場合があります。申請前に必要書類や準備内容を確認しましょう。
Q:認定後は更新が必要ですか?
A:新規認定から初回更新までは2年ごと、初回更新から2回目までは3年ごと、以降は4年ごとの更新申請が必要です。
まとめ:Gマーク取得で信頼と安全性の向上を目指そう
Gマークを取得すれば荷主や取引先からの信頼向上が期待できるだけでなく、記録管理や教育体制の見直しを通じて安全管理体制の強化にもつながります。本記事を参考に、Gマーク取得への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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